校長より  

~尾西高校の「大団円」を言祝ぐ~ (閉校式 式辞)

愛知県立尾西高等学校の閉校にあたり、御挨拶申し上げます。

この度、誠に残念なことではありますが、愛知県立尾西高等学校が、営々と築いて参りました伝統とその歴史に幕を閉じることとなりました。

昭和から平成、そして令和へと輝かしい歴史を築き、その時々の課題に真摯に立ち向かい、11,000人を超える卒業生を送り出して参りました本校も、地域を支える学校としての使命を完うし、その栄えある歴史に幕を下ろします。

本校は、昭和52年4月、尾張野の真野の西に、尾西市をはじめとする近隣地域の皆様の教育に対する熱い思いと支援により、全日制の普通科高校として設立されました。

田園風景が広がる、自然あふれる環境は開校以来変わらないものの、一回生の入学式の式辞で桜もなく寂しいともらされた校庭の様子も、現在では桜の木のみならず、校舎より高く伸びたメタセコイアの木々など美しい景観を見せています。開校当初は本館棟のみで体育館もなく、体育の授業では小石を拾ってから始めていたというグランドや校舎も今では立派に整えられています。

しかし、創設時に目指した「若人の情熱と感動にみちた、清新の気あふれる学校、師弟をして所を得しめうる・望みを託しうる学校、保護者・師弟のみならず、地元の人々すべてが心のふるさととして誇りうる学校」への思いは、校訓である「真摯」とともに、現在も受け継がれています。

さて今、48年の歴史を振り返りますと、たくさんの学校行事の中でも、特に木曽川沿いを一日かけて歩く闊歩大会は、コース等変えながらも今年度まで続けられ、尾西高校といえば闊歩大会といわれるほど地域でも注目される伝統行事となりました。部活動も盛んに行われ、運動部では、陸上部や水泳部、弓道部等が県大会や東海大会で活躍し、また文化部では、放送部が全国大会に出場するなど輝かしい成績を残して参りました。平成21年度から導入された情報活用コース設置後は、資格の取得や各種コンテストでの入賞などの成果も上げました。

近年は、個々の生徒に手厚く対応するため少人数の学級編成とし、きめ細かい丁寧な教科指導や生徒指導を行うほか、地域の清掃活動や介護施設でのボランティア活動など、心の教育も実践し、社会で立派に自立し活躍できる人間の育成に努め、地域においても高い評価をいただいています。

平成28年には創立四〇周年の盛大な記念式典を挙行し、今後のさらなる発展につながるものと期待が膨らみました。しかし、時代の変化の中で近隣地域の生徒数の減少のあおりを受け、令和3年に発表された「県立学校再編計画」により、来年度から本校は稲沢高校、稲沢東高校と統合され、稲沢緑風館高校に改編されることになりました。普通科単独校から普通科、農業科併設校へと変わることになりますが、本校が開校以来大切にして参りました生徒一人ひとりに寄り添う教育は、稲沢緑風館高校に引き継がれるものと確信しております。

私ども現職員は閉校が決まって以来、寂しさを感じながらも、その思いに負けることなく、卒業生の皆様が築かれたすばらしい歴史を受け継ぎ、その姿を最後まで示して有終の美を飾ろうと決意しました。そして、生徒、職員一丸となって尾西高校の大団円を実現するため取り組んで参りました。特にこの一年は本校に関わっていただいた皆様への感謝の意を伝えるため、卒業生や地域の方々と連携して取り組む活動に力を入れて参りました。最後の闊歩大会では、たくさんの卒業生や保護者の方々、地域の方々に御参加、御協力いただきありがとうございました。生徒はもとより、参加者全員が完歩し、卒業生や保護者の方々、地域の方々と共に最後となる闊歩大会を成功裏に終えることができましたことは、歓喜の念に堪えません。

また、朝日公民館で開催した清新祭においても、生徒のユーモアあふれる発表に加え、スギちゃんをはじめとする卒業生の方々に御出演いただき、閉校記念ステージを滞りなく行うことができました。卒業生や保護者の方々、地域の方々と盛大に開催できましたことは本校の最後の歴史を飾るにふさわしいものとなりました。皆様の温かい御支援の気持ちに対し深く感謝いたします。

閉校を迎えるにあたり、たくさんの皆様方と共に最後までやり抜いたことに、すがすがしさを感じています。いわゆる大団円を完成させることができました。最後の卒業生37名もこの思い出と充実感を胸に立派に巣立っていくことができます。

最後となりますが、48年の長きにわたる関係の皆様方の御支援や御協力により、つつがなく本日の大団円を迎えることができましたことに、心から御礼申し上げますとともに、この4月より愛知県立尾西高等学校の伝統を引き継ぐ稲沢緑風館高校に、今後も変わらぬ御支援を賜りますことを心よりお願い申し上げ、閉校に寄せる言葉といたします。

愛知県立尾西高等学校 校長 板垣 光保